観劇感想

9月例会 イマシバシノアヤウサ『モジョ ミキボー』

ずんずん引き込まれ  金星音楽団 67歳
寡聞にして観劇前は、作者についても、作品についても、また上演されるユニット「イマシバシノアヤウサ」さんについてもまったく知らず、まっさらな状態で席につきました。始まっても、はじめのうちは話についていけなかったですが、舞台が進むうち、ずんずん引き込まれました。どこにでもいる悪ガキが、紛争の中で、どのように傷ついていくかが、とてもよく描写されていたからです。結末部分も、傷が回復していくなどのお座なりなものでなく、結局溝は溝のまま、というのがすごく切なくて良かったです。今年、数十年振りに労演に復帰しましたが、こういったメジャーでない、冒険的な作品も取り上げてくださり、とても有難いと思いました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

お芝居の可能性  ドレミ 70代
『モジョ ミキボー』、何かパッとしないタイトル。あまり期待感はないものの、「2人で17役」に興味を惹かれました。歌舞伎のような早変わりなのか? 額の光る素のままの俳優の登場に、「少年? 嘘でしょう」と思ったのも束の間、どんどんお芝居に引き込まれていきました。映画に影絵に人形等多彩な演出で多くの人物が登場。父親の帽子の違いがそれぞれの文化背景を反映し、母親のエプロンの色が宗教を暗示する。子ども達の対立にも、オレンジと緑の照明が効果的に切り替わる。テンポが速くて、エプロンや照明の切り替えが台詞とずれる。そこがまたおかしくて。「明日に向かって撃て!」の挿入も心憎い。笑って観ていたのに、最後は悲しい現実。今はどこかでモジョとミキボーが邂逅していると信じたい。走り、転げまわり、瞬時に役を入れ替わるエネルギッシュな演技もあって、お芝居の可能性の広さを実感しました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ようやるなぁ!  オレンジ
題の意味不明。えっ? 北アイルランドの宗教戦争? ああ、ややこしそう。しんどくて半分も分からないだろうなぁ、と期待しないで会場へ。席は前から3番目。ごちゃごちゃと小さなおもちゃの様な家やガラクタ? など、子どもが喜びそうな舞台装置。少し興味が湧いてきました。始まるや否や、演者が観客席に飛び降りたり、飛び上がったり。瞬発力と筋力がすごいなぁ。2人が17名の役をやる? どういうこと? やがてスクリーンが現れて、私の好きなレッドフォードさま主演の映画「明日に向かって撃て!」。思わず声を出して笑ってしまった。恋人を自転車に載せて走るシーン。音楽も大好き。ようやるなぁ。こうやってスライドの中で多数の役をやるのかな? いいえ、街のきれいなお姉さん、色気たっぷり。エプロンつけて疲れたお母さん。お父さん。いやもう舞台の前の席だったので、早変化が面白くて、隣の友達とともに声を出して笑いました。外国の名前がいっぱい出てきて、よう分からなかったです。でも、大人の戦争や差別や憎悪と関係なしに僕らは仲良し! 多くの市民が宗教の名のもとに虐殺されたガザ、ウクライナ… 侵略や紛争や殺人…イスラエルやロシアの事が心に刺さります。素敵な舞台ありがとう。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

深い面白さ  ドレミ 80歳
題名、劇団名から謎めき、懲りにこった予感がしていた。役者と演出家3人で発足し、長年に渡って創り上げた作品は、予想(奇想)天外で、深い面白さと、考えるべきテーマの余韻を残した。公演終了後の懇親会で、役者さんと話す貴重な経験を得て、「逆行する世界だからこそ、愚かさも持つ人間だからこそ、理想を求めて演じ伝えたい」との生身の言葉は、私自身、休火山のマグマに火を点けてもらった思いです。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


8月例会 文学座『欲望という名の電車』

現代に繋がる名作  どろんこ 68歳
予備知識のあまりないまま観劇しました。悲劇的な結末に、辛い気持ちになりましたが、人間について深く掘り下げている作品だと思いました。移民に対しての差別、LGBTQの問題を背景にした人間の物語は、リアルで現代に繋がる名作ですね。労演の皆様、劇団の皆様、ありがとうございました。
*****************************************************************************************************

ブランチという女性  ムハト 69歳
ブランチ、30代女性、独身。気位だけは高く、他人を容赦なく批判するが、自分が批判されるとパニックになる。衰える美貌を何とか取り繕おうとする。気に入った男性は嘘をついてでも取り込もうとする。まったく友達にはなりたくない人物である。しかし、そうなった理由はある。10代での夫の自殺、父の死、妹との離別、相次ぐ親戚の死。そのため、やすらぎを求めて男性を遍歴し、財産も失ってしまった。ブランチの欲望はよこしまなものではなく、心の安らぐ生活をしたいということだった。それが最後には心が壊れてしまったのは、自分の弱さを認め、素直に助けを求めるということができなかったためだろうか? 考えさせられた。心の広い、妹のとびきりの笑顔が大きな救いだった。
*****************************************************************************************************

台詞に重みと力  ムハト
見応えがありました。台詞で成り立っているお芝居―。その魅力を改めて感じました。私は二十代の頃、杉村春子さんのブランチ役で、このお芝居と出会いました。あれから長い年月が経ちましたが、いくつもの場面が鮮明によみがえってきたのです。ストーリーがしっかりして、台詞にも重みと力があるからだと思います。姉ブランチと対照的な妹ステラの演技も光っていました。*****************************************************************************************************

人間の生き様  空海 71歳
台詞量に驚いた。終わって本を読んでみようと思った。人間の生き様が良く表現されていたと思う。*****************************************************************************************************

誰もがなりうる  ドレミ 70代
翻訳の更新・新演出のためなのか、私自身の経年変化なのか、以前と異なる芝居に思えた。以前のブランチは特別に繊細で、それゆえに壊れたと思っていた。けれど今回は、誰もがブランチになるかもしれないと。育ちの過程で培われた価値観と偏見。思春期における耐え難い経験。さらに経済的な没落。拠り所がないため寛容になれず、他者への蔑視と差別。そのことにより返ってくる反発・抵抗。プライドを保つために嘘をつき、その嘘に自分もからめとられる。嘘が妄想になり、実社会に適応できなくなる。ブランチは身近にいそうな人だった。酒飲みで嘘つきの、そんな山本ブランチがリアルで良かった。*****************************************************************************************************

苦しく、悲しい  64歳
タイトルと、作家の名前と、杉村春子の顔は何十年も昔から知っていましたが、まったくあらすじでさえ知らず、観たことがありませんでした。こんなに苦しい、悲しい劇とは思いもよりませんでした。私としては、良い生まれで、教育を受け、教養もあり、美しい優しい姉が、あそこまで下品になるとは思えませんでした。妹、よかった。*****************************************************************************************************

3人目のブランチ  風の谷 78歳
杉村春子さん、東恵美子さん、山本郁子さん、3人目のブランチ・デュボアでした。観客の側の年齢の変化と、舞台づくりの時代の変化、いろいろなことを感じながら観ましたが、どれも素晴らしい! 名作です。生の舞台をずっと観続けたいと思います。*****************************************************************************************************

健気に美しく  トマト 72歳
20代の時に観ているのですが、「何だかやりきれないなぁ」ということしか思い出せず…今回は年を重ねたせいか、ぐいぐい引き込まれました。舞台装置、音楽もよかったです。あの時代の同性愛者への偏見や、地位も財産も無くしてしまった環境で、必死に生き抜こうとしたブランチの姿が悲しいくらいに健気に美しく思えました。「いつだって見ず知らずの方のご親切に支えられて生きてきたのですから…」という台詞だけしっかりとよみがえりました。入院後のブランチが気になりますが…きっと彼女らしく生き抜いたと信じたい。*****************************************************************************************************

◎券裏ちょっとひと言

9月例会 イマシバシノアヤウサ『モジョ ミキボー』
  • 紛争の罪が少年の日常を通して見えてくる。内容とともに、上演方法が斬新でおもしろかった。(女 70代)
  • 初めて観ました。登場人物は何人? と途中から数えるのをやめました。身体の向きが変わると人物が変わっていて、台詞も途切れない。いつの間にか舞台に吸い寄せられていました。(女 73歳)
  • 2人で何役もされて凄かったです。難しい宗教対立を背景に、子ども時代と大人になってから、男の子2人の成長と日常で、考えさせられるお芝居でした。(女 79歳)
  • はじめは今ひとつ、分かりにくかったが、だんだん面白くなった。七変化(それ以上?)の二人の演技力が素晴らしい!! 終わってみれば大変面白かった!!(女 69歳)
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました